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SBIの「ゼロカン」ってどうなの?信託報酬0%の魅力と新設ファンドのリスクを比べてみた

2026年11月17日設定予定のSBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド(ゼロカン)を、eMAXIS Slim オルカン、楽天・プラス、新SBIオルカン、SBI雪だるまと比較。こどもNISAで月5万円を10年積み立て、その後8年保有した場合の差も試算します。

公開日: 2026年10月5日更新日: 2026年10月6日
SBIの「ゼロカン」ってどうなの?信託報酬0%の魅力と新設ファンドのリスクを比べてみた

主要指標

信託報酬
0.00%
設定予定日
2026年11月17日
こどもNISA上限
年60万円・総額600万円

分析・考察

「信託報酬0%」。

投資信託を少しでも調べたことがある人なら、この数字には目が止まるはずです。0.05%台でも十分安いと言われてきた全世界株式ファンドの世界で、ついに“ゼロ”。

SBIアセットマネジメントが2026年11月17日に設定予定の**「SBI・ゼロ・オールカントリー・インデックス・ファンド」**。愛称は「ゼロカン」です。

名前だけ見ると、かなり強そう。ただ、調べていくと気になる点も出てきます。

「0%なら迷わずこれでいいのか?」 「eMAXIS Slimのオルカンや楽天のオルカンと何が違う?」 「新しいファンドって、実績がないのが怖くない?」

このあたりを、数字をそろえて見ていきます。

先に結論:こどもNISAではかなり魅力的。ただし“0%だから絶対”ではない

ゼロカンの最大の特徴は、名前の通り**信託報酬が年0.00%**であること。

投資先はMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス。日本を含む先進国・新興国の株式にまとめて投資する、いわゆる「オルカン系」の王道です。

しかも、2027年1月開始予定のこどもNISA専用。年間60万円、非課税保有限度額600万円という制度に合わせた商品設計になっています。

ここまで聞くと、かなり隙がない。

ただし、ゼロカンは2026年11月17日に設定されるまったく新しいファンドです。運用実績も、指数との連動精度も、実質コストもまだ実績値がありません。

つまり、

コストは最強クラス。実績はゼロ。

この2つをどう見るかが、ゼロカンを選ぶときのポイントになります。

ゼロカンは何に投資する?

ゼロカンは、MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み・円換算ベース)への連動を目指します。

ざっくり言えば、世界中の大型・中型株をまとめて持つファンド。

構成の考え方は、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)や楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンドと近いものです。

SBIは同時に一般向けの**「SBI・オールカントリー・インデックス・ファンド」**も設定予定で、こちらも同じマザーファンドを使います。

違いはシンプル。

商品 主な対象 信託報酬
ゼロカン こどもNISA専用 0.000%
新SBIオルカン NISA・課税口座など 0.055%

同じエンジンを使いながら、こどもNISA版だけ信託報酬をゼロにしたような設計です。

「信託報酬0%」でも、本当に全部無料ではない

ここは少し冷静に見ておきたいところ。

SBIがゼロとしているのは、運用会社・販売会社・受託会社に支払う信託報酬です。

一方で、

  • 監査報酬
  • 株式の売買委託手数料
  • 信託事務にかかる費用
  • 外貨建て資産の保管費用

などは別途ファンド内部で発生します。

口座から「手数料○円」と引かれるわけではありませんが、基準価額には影響します。

なので、正確には**「主要な固定コストである信託報酬が0%」**と考えるのがよさそうです。

それでも0%のインパクトは大きい。長期保有を前提とするこどもNISAとは相性のいい設計です。

5本を並べると、ゼロカンの立ち位置が見える

今回比較したのは次の5本です。

商品 指数 信託報酬等 実績
SBI ゼロカン MSCI ACWI 0.000% 2026年11月設定予定
新SBIオルカン MSCI ACWI 0.055% 2026年11月設定予定
楽天・プラス・オールカントリー MSCI ACWI 0.0561% 2023年〜
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) MSCI ACWI 0.05775%以内 2018年〜
SBI・全世界株式(雪だるま) FTSE Global All Cap 約0.1022% 2017年〜

4本はMSCI ACWI系。SBIの「雪だるま」だけFTSE Global All Capで、小型株まで含むため投資範囲が少し広めです。

コストだけを見ればゼロカンが一歩抜けています。

ただ、安心感ではeMAXIS Slim オルカンが強い。2018年からの運用実績があり、巨大な純資産を抱える既存の定番ファンドです。

この差は、スペック表では見えにくい部分。

新品のゼロカンを取るか、長年走っているeMAXIS Slimを取るか。自動車でいえば、新型モデルと熟成された定番モデルを比べる感覚に少し似ています。

新しいファンドだからこそのリスク

ゼロカンで気になるのは、主に3つです。

1. 指数とのズレがまだ分からない

インデックスファンドは、信託報酬が安ければそれで終わり、ではありません。

重要なのはベンチマークにどれだけ正確についていけるか。

仮にMSCI ACWIが年間10.0%上がったのに、ファンドが9.8%しか上がらなければ、その0.2%の差は信託報酬0.05%の差よりずっと大きくなります。

ゼロカンはまだ運用前。このトラッキング精度は、実際に走り始めてみないと分かりません。

2. 実質コストがまだ見えない

信託報酬は0%でも、売買費用などは発生します。

年次報告書が出て初めて、「結局1年間でどのくらいのコストがかかったのか」が見えてきます。

0%という数字は魅力的。ただ、最終的には実質コストと指数との差まで確認したいところです。

3. 純資産がまだない

新設なので、スタート時点では運用残高もこれから。

ただし、ゼロカンと一般向けの新SBIオルカンは同じマザーファンドを使います。さらに株式運用の一部は、長年インデックス運用を手掛けるステート・ストリートに委託される予定です。

「無名の会社が突然始める新商品」とは少し事情が違います。

月5万円を10年積み立て、その後8年持ったら?

では、コスト差が実際にどれくらい効くのか。

こどもNISAは年間60万円、非課税保有限度額600万円。そこで、

  • 毎月5万円
  • 10年間積立
  • 元本600万円
  • その後8年間は追加投資せず保有
  • 世界株の市場リターンを年5%と仮定
  • 月末積立
  • 信託報酬等を簡易的に差し引く

という条件で試算しました。

結果は次の通りです。

商品 18歳時点の投信評価額(概算)
ゼロカン 約1,140.3万円
新SBIオルカン 約1,132.0万円
楽天・プラス・オルカン 約1,131.8万円
eMAXIS Slim オルカン 約1,131.6万円
SBI雪だるま 約1,124.9万円

ゼロカンとeMAXIS Slim オルカンとの差は、約8.7万円。

18年間という長さを考えると、「思ったより小さい」と感じる人もいるかもしれません。

元本600万円が1,100万円台まで育つ想定の中で、差は10万円弱。

ここが面白いところです。

信託報酬0%は確かに有利。でも、0%だから他の商品が選択肢にならないほどの差ではない。

ポイントまで入れると、さらに差は縮む

楽天証券では、楽天・プラス・オールカントリーの保有残高に対して、現在年0.017%相当の楽天ポイントが付与されます。

SBI証券でも投信マイレージがあります。eMAXIS Slim オルカンは年0.0175%、SBI雪だるまは年0.0242%が現行の対象率です。

上の条件で単純計算すると、18年間の保有ポイントは概算で、

商品 保有ポイント概算
楽天・プラス・オルカン 約1.9万円
eMAXIS Slim オルカン(SBI証券保有) 約1.9万円
SBI雪だるま 約2.7万円

程度。

ポイントを経済価値として足すと、楽天とeMAXIS Slimはゼロカンとの差を少し縮めます。

ただし、ポイント制度は18年間固定される保証はありません。あくまで現在の制度が続いた場合の参考値として見るべきでしょう。

なお、新SBIオルカンの投信マイレージ付与率は、2026年10月5日時点ではまだ正式な実績・条件が出そろっていません。

クレカ積立のポイントは、こどもNISAでは期待しない

「楽天カードや三井住友カードで積み立てれば、買付時にもポイントが付くのでは?」

ここも気になるところです。

ただ、未成年向けのこどもNISAでは、現時点の案内上、通常の成人口座と同じようにクレカ積立ポイントを使える前提ではありません。

今回の比較では、クレカ積立ポイントは0円として計算しています。

成人後の新規積立では話が変わります。そこからはカード還元も含めて証券会社を選ぶ意味が出てきます。

では、ゼロカンを選ぶべき?

数字だけなら、かなり魅力的です。

同じMSCI ACWI系の商品に投資するなら、信託報酬0%はシンプルに強い。

特にこどもNISAは運用期間が長くなりやすく、18歳以降も保有を続ける可能性があります。固定コストが小さいことは、長く持つほど効いてきます。

一方で、スタート直後から何も確認せず「0%だから一択」と決めるのは少し早いとも感じます。

私たちが確認したいのは、

純資産がどのペースで増えるか。
MSCI ACWIとの乖離はどれくらいか。
最初の実質コストはどうなるか。

この3つ。

2027年にこどもNISAが始まるころには、ゼロカンも数週間〜1か月程度は運用されています。短期間ではありますが、スタート直後の資金流入や値動きは確認できます。

そこで大きな違和感がなければ、ゼロカンはかなり有力な選択肢になりそうです。

HOBNOVAの見方

「信託報酬0%」という文字を見ると、どうしても答えが出たような気分になります。

でも、投資商品は数字ひとつでは決まりません。

0.05775%のeMAXIS Slimには、長年の運用実績があります。楽天にはポイント制度がある。雪だるまは小型株までカバーする。そしてゼロカンには、圧倒的に低い固定コストがある。

それぞれに理由があります。

現時点でゼロカンを一言で表すなら、“かなり魅力的。でも、走り始めたところを一度見てからでも遅くない新商品”。

2026年11月17日の設定後は、純資産・実質コスト・ベンチマークとの差を追って、この記事も更新していきます。


参考資料

※本記事の将来資産額は一定利回りを仮定した単純シミュレーションであり、将来の運用成果を保証するものではありません。ポイント還元率や制度内容は今後変更される可能性があります。投資判断は最新の目論見書・公式情報をご確認ください。

データ出典: SBIグループ、各運用会社・証券会社の公開情報(2026年10月5日確認)